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プロローグ 明治20年のクリスマス・イブ
監査役の最初の名は「取締役」だった
ドイツの監査役会と取締役会
一層制と二層制
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第1章 監査役の父・ロェスレルと翻訳工房のひとびと
第1節「ロェスレル博士」の来日
「ロェスレル博士」
鉄血宰相ビスマルク
ロェスレルの「事情」
ロェスレルの来日
第2節 不平等条約と法典
領事裁判
明治政府の「手品」
第3節 舶来品の「法典」
ロェスレルの商法草案
ナポレオンの商法典
日本の「商法編纂」─翻訳工房にて
第4節 翻訳工房のひとびと
翻訳工房の前史─周布公平のこと
「商法編纂局」のひとびと
ロェスレルの分身─本尾敬三郎/文明開化と「翻訳」
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第2章 ロェスレル発案の「監査役会」
第1節イギリス由来の「取締役会」と「業務執行取締役」
「頭取」と「取締役」
「ディレクトーレン」
「取締役会」と「業務執行取締役」の原型
第2節 ロェスレル苦心の「監査役会」構想
「アウフジヒツラート」
ロェスレル型「監査役会」の責務
「監査役会」の権限抑制─ドイツ法の否定
第3節 監査役会と取締役会の抑チェック・アンド・バランス制と均衡
「適法性監査」「妥当性監査」の登場
112年前の「監査役会」構想
監査役会メンバーの情報収集権─独任制
第4節 理解と翻訳をめぐる苦難
「翻訳」のむずかしさ
会社法なき会社の時代
商法編纂局の智恵と工夫
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第3章 日本の監査役は、ドイツのコピーではない
第1節 19世紀イギリス・フランスの監査役
英仏の会社法─幕末維新のころ
イギリスの監査役─会計検査
フランスの監査役─業務監査・邪魔者扱いの源
第2節 フランス・ドイツの株式合資会社
株式合資会社
株式合資会社の「監査役会」
フランスからドイツへの伝播
第3節 ドイツ「監査役会」の誕生
「遅れて来た国」ドイツ
翻訳による「監査役会(アウフジヒツラート)」の誕生
第4節 ドイツ株式会社の「監査役会」支配
ドイツの監査制度の独自性
「縮小された株主総会」
「監査役会」による会社支配
第5節 日本の監査役は、ドイツのコピーではない
日本とドイツの監査役は立場が違う
第一次株式法改正と「発起人時代」
イェーリングの痛罵と第二次株式法改正
第6節 欧州の「ロェスレル型」監査役会
ハンゼマンの「プロイセン・ライン鉄道」
権限分割による監査制度
ズデーテン地方の「日本型」
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第4章 商社法の編纂─監査役の名は「検査役」
第1節 最初の衝突
東京のロェスレル博士
ロェスレルと商法編纂局の大喧嘩
商法編纂局の「取締役」「検査役」
第2節 伊藤博文の仲裁
伊藤博文の帰国
寺島委員会
第3節 寺島宗則の熟議─「商社法」の完成
会社条例編纂委員会─学者たちの「研究会」
寺島委員会とロェスレルの「熟議」
第4節「商社法」の検査役
知られざる「商社法」
検査役の設置強制
ロェスレルの海外出張─商法と外交─
第5節 商法全部の編纂へ
「会社の義解は如何なるや」
商法典全部の編纂へ
地球の商法典
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第5章 井上外交の「エジプト方式」
第1節 寺島委員会の封印
商社法の挫折
井上外交
外務省の「法律取調委員会」
第2節「エジプト方式」
エジプトの近代
エジプトの混合裁判所
明治日本とエジプト方式
第3節 井上外交の蹉跌
ボワソナードの忠告
憲法起草とロェスレル
井上毅の工作
谷将軍
井上おろし
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第6章 山田法典伯と「監査役」の誕生
第1節 山田法典伯
山田顕義の「法律取調委員会」へ
山田法典伯
伊藤博文の慨嘆
第2節 監査役の誕生日
「検査役」から「監査役」へ
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第7章 明治人の世界的視野
第1節 ロェスレル類似のイタリアの「監査役会」
ロェスレル発案の「監査役会」
イタリアの「維新」
「会社の正義を護る者」─イタリアの監査役
第2節 ハンガリーとバルカン諸国
近代ハンガリーの権限分割型「監査役会」
19世紀末のバルカン諸国の監査役
第3節 南ヨーロッパと南米諸国
「南蛮人」との再会─ポルトガル、スペイン
ポルトガルの監査制度
南米諸国の監査役
第4節 オランダ東インド会社
紅毛人の「こんぱんや」
VOCの経営組織と監査役会
オランダの監査役会
第5節 ベルギーとスイス
ベルギーと明治日本
ベルギーの監査役制度─三権分立型
スイス時計業組合の来日
スイスの監査役
第6節 明治人の世界的視野
「萬國新史」と「萬國商法」
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第8章 明治23年商法と監査役
第1節 大隈外交と法典論争
大隈外相
憲法発布
第2節 法典論争の勃発
法典論争ののろし
学派の争い
大隈の遭難
第3節 明治23年商法の完成
商法典公布の紆余曲折
明治天皇の幻の裁可
明治23年商法の監査役制度
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第9章 明治憲法の作動と商法施行延期
第1節 議会開会前夜の攻防
鬼の来ぬ間に何とやら
商法は分からぬ、民法も分からぬ
商法施行延期論の跫音
第2節 商法施行延期
憲法政治の幕開け/商法延期戦の「関ヶ原」
商法位はどうなってもかまわぬ
第3節 視界不良
商法出でても忠孝は亡ばぬ
ロェスレルの痛嘆
法典伯山田の悲運
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第10章 日本人による日本の商法
第1節 渋沢栄一の介入
梅謙次郎の登場
渋沢栄一の商法修正意見書─監査役制度の修正
岸本辰雄の駁論
第2節 伊藤の政治的魔法─明治26年の商法一部施行
会社法施行の萌し
伊藤博文の魔法
西園寺委員会による監査役制度の修正
会社法と監査役の実現
第3節 別 離
送別の宴
南チロルにて
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第11章 監査役制度の施行─ロェスレル商法2.0
第1節 明治26年商法施行と監査役
明治26年の商法施行
三井、三菱と商法施行
第2節 明治32年のロェスレル商法2.0
明治32年の新商法へ
明治32年新商法の監査役─消えた監査役会
業務監視権限の削除
監査役の独立性の萌芽
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エピローグ 監査役の運命
明治32年商法と監査役
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連載あとがき─蛇足として
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講演録 監査役の誕生から現在、そして未来
T はじめに
U 監査役の誕生
1.生みの親ロェスレル
2.監査役の語源─「監視」と「検査」
3.監査役の存在意義
4.ドイツがモデルではなかった
5.日本に最も似ているのはイタリア
6.監査役の廃止と復活
V 監査役の現在
1.専門性・独立性
2.「モニタリング・モデル」
W そして未来
1.「取締役的監査役」か「監査役的取締役」か
2.日本文化とガバナンス
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単行本あとがき
略年表
人名索引・事項索引(巻末)
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