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問題意識
§ 1 監査研究を取り巻く環境
公認会計士による財務諸表監査と監査研究
内部監査と監査研究
監査役監査と監査研究
会計検査院検査・地方自治体監査と監査研究
§ 2 監査学の必要性─その構築に向けて |
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重要な用語の使い分けと図表における記号の表記等について
§ 1 重要な監査用語の使い分け
§ 2 図表等の表記において使用されている記号の意味
§ 3 旧字と漢数字の扱い
§ 4 本文(注を含む)・寄稿論文(注を含む)中の参照リーダーと参考文献について
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第T部 監査史分析の視点─受託責任─ |
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第1章 監査学の模索─学問と実務
§ 1 監査という営為─職務と業務
§ 2 監査論それとも監査学
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第2章 監査史研究と監査概念
§ 1 監査とは何か─学術的考究に値するか
§ 2 学術上の概念としての監査
§ 3 監査概念の二面性─明示的機能と黙示的機能
監査の明示的機能
監査の黙示的機能
§ 4 監査と歴史研究
§ 5 監査学と監査史研究
§ 6 小 括
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第3章 監査を生み出す社会的関係
§ 1 委託受託関係
§ 2 委託受託関係と受託責任サイクル
§ 3 受託責任の解除
§ 4 受託責任の解除の手段としての監査
委託者全員参加による受託責任解除型監査
委託者の代表者による受託責任解除型監査
委託者の代理人による受託責任解除型監査
受託責任自己解除型監査
§ 5 小 括
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第4章 委託受託関係と受託責任概念
§ 1 受託責任と報告責任(会計責任)との関係
§ 2 受託責任概念の再解明
§ 3 受託責任概念の現代的意義
§ 4 受託責任を構成する内概念─報告責任(会計責任)
§ 5 受託責任を構成する内概念─財産の保全管理責任
§ 6 受託責任を構成する外概念─支配・統治
§ 7 小 括
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第T部を締め括るにあたって |
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第U部 英国・アメリカの監査史 |
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第5章 中世英国の王室財務省下の監査
§ 1 中央からの代理官の派遣
§ 2 王室財務省(Exchequer)の仕組み
上院
下院
§ 3 領地経営の総責任者─州長官
§ 4 Exchequer における会計の仕組みと内部牽制機能
会計帳頬の体系
上納金納入の仕組み
§ 5 年度末監査
Exchequer Table とその着席者
§ 6 王室財務省における監査の構造と特徴
§ 7 小 括
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第6章 中世英国における荘園監査
§ 1 荘園経営の体制
§ 2 荘園経営における委託受託関係
領主と荘役との間の潜在的利害の対立
受託責任の履行と荘園帳簿
§ 3 荘園監査の構造と特徴
荘園の監査人
§ 4 小 括
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第7章 中世英国におけるギルド監査
§ 1 団体としてのギルドとタウン(都市)との関係
§ 2 クラフト・ギルドのガバナンス─役員体制
ギルドの執行役員(warden)
ギルドの監査人
§ 3 ギルド内部の監査体制─会計帳簿の監査
§ 4 ギルド内部の監査体制─ギルド内規の遵守性監査
§ 5 ギルド監査の特徴
§ 6 小 括
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第8章 英国東インド会社における監査
§ 1 東インド会社の変遷
第1期(1600-1612)
第2期(1613-1656)
第3期(1657―)
§ 2 東インド会社のガバナンス構造
(1)カンパニー総会と理事会および両者の関係
(2)カンパニーの運営(カンパニー出資者)と個別航海企業の経営(航海事業出資者)
(3)航海企業の組織化─船隊の準備・航海・帰国(精算・解散)
(4)理事会(理事)による独裁的経営
(5)経営の民主化
§ 3 東インド会社における会計の仕組み
(1)東インド会社の会計帳簿
(2)会計役の職務
§ 4 東インド会社における監査の仕組み
§ 5 東インド会社監査の生成基盤と2 系列監査
§ 6 小 括
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第9章 19世紀前半における英国会社法監査
§ 1 会社法制定に至る前史─法人格なき会社の誕生
§ 2 1844年会社登記法
(1)株式会社のガバナンス体制
(2)取締役の会計責任の範囲
(3)会計監査役の職務
§ 3 1845年公益事業会社条款総括法
(1)取締役の会計責任の拡充
(2)監査人の独立性の強化
§ 4 1856年会社法
(1)株式会社のガバナンス体制
(2)取締役の会計責任の強化
(3)会計監査役の監査
§ 5 1856年会社法下の会計監査役監査の構造と特徴
§ 6 19世紀前半の監査実務の状況
§ 7 小 括
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第10章 アメリカ植民地時代初期の監査
§ 1 マサチューセッツ湾会社の設立
§ 2 マサチューセッツ湾会社の事業活動
§ 3 マサチューセッツ湾会社のガバナンスと会社の機関
マサチューセッツ湾会社の総裁・財務役の受託責任
§ 4 マサチューセッツ湾会社における監査の基本的構造と性格
§ 5 マサチューセッツ湾会社の監査の構造と特徴
§ 6 小 括
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第11章 アメリカ植民地時代中期の雑貨商会の監査
§ 1 William Prentis Co.の創設から閉鎖までの軌跡
§ 2 プレンティス商会の会社形態の変遷
§ 3 プレンティス商会の会社組織
§ 4 プレンティス商会の会計
§ 5 プレンティス商会における監査の生成基盤と監査の構造
§ 6 小 括
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第12章 アメリカ初期の鉄道会社監査
§ 1 鉄道事業の興隆を支えた社会的・経済的背景─前史
(1)会社法の整備
(2)外国資本への依存
(3)連邦政府と州政府の支援
§ 2 鉄道会社の事業報告と財務報告
Baltimore and Ohio 鉄道のケース
Boston and Worcester 鉄道のケース
Philadelphia and Reading 鉄道のケース
Chicago, Burlington & Quincy 鉄道のケース
§ 3 不正と証券の水増し発行
§ 4 鉄道料金を巡る不公正な経営と州際商業委員会の創設
§ 5 鉄道会社の監査の構造と特徴
第1 型の監査─経営者のための監査(前史)
第1 型の監査─会社のガバナンスに組み入れられた経営者のための監査
第2 型の監査─経営者のための監査と株主のための監査の共存
第3 型の監査─株主のための職業会計士による外部監査
§ 6 小 括
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第13章 アメリカにおける信用監査としての貸借対照表監査
§ 1 信用監査を生んだ19世紀中頃以降のアメリカの経済社会
(1)南北戦争前の金融市場
(2)南北戦争後の新たな金融取引の動き
§ 2 信用情報としての貸借対照表に対する認識
§ 3 信用監査の普及度と信用監査に対する銀行側の不信感
(1)信用情報としての貸借対照表に対する認識を阻んだ要因
(2)信用情報としての貸借対照表の様式の統一化を模索する動き
§ 4 信用監査としての貸借対照表監査の存在価値
§ 5 「貸借対照表監査」(信用監査)の理論的特性
(1)信用監査の生成基盤と基本的性格
(2)監査手続に対する基本的アプローチ
§ 6 小 括
章末 アメリカの「貸借対照表監査」についてのわが国における議論
§ 1 「貸借対照表監査」についての混乱の始まり
§ 2 シェーマ批判にむけての監査研究
§ 3 「貸借対照表監査」の歴史的理解
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第14 章 米国連邦証券法のもとでの財務諸表監査
§ 1 証券法制定に至るアメリカ企業の財務報告の歩み
§ 2 NYSE(株式上場委員会)による規制─苦難の歩みと限界
§ 3 NYSE(株式上場委員会)による規制─新しい展開
§ 4 Kreuger & Toll Co. 事件─ NYSE とアメリカ議会の対応
(1)Kreuger & Toll 経営破綻・不正事件の発覚
(2)Price Waterhouse & Co. によるKreuger & Toll 調査報告書
§ 5 NYSE株式上場委員会宛てのMayの書簡の歴史的意義
May が推奨した監査報告書様式
§ 6 Kreuger & Toll 事件に対するアメリカ議会の対応(May証言)
§ 7 NYSE株式上場各社社長宛てのNYSE理事長Whitneyの書簡
§ 8 連邦政府による証券市場に対する直接的な法規制
(1)FTCによる証券市場の規制
(2)証券法のもとでの職業会計士の役割
§ 9 証券法のもとでの財務諸表監査の構造
§ 10 小 括
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第U部を締め括るにあたって |
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第V部 日本の監査史 |
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第15章 徳川幕府下の監査
§ 1 徳川幕府の統治機構
§ 2 徳川幕府の執行・監督機関と監査機関
(1)勘定所の誕生
(2)勘定所の機構改革と分課体制
§ 3 徳川幕府の執行・監督機関─勘定奉行の就任
(1)勘定奉行の受託責任─財産の保全管理責任
(2)勘定奉行の受託責任─会計責任の遂行とその解除
§ 4 徳川幕府の監査機関─勘定吟味役
(1)江戸幕府下の経営者不正─勘定奉行荻原重秀と新井白石の建白書
(2)徳川幕府の最高の監査機関
§ 5 勘定吟味役監査の構造
徳川幕府開設時の監査の仕組み
勘定頭差添役(勘定吟味役)設置時の監査の構造
勘定吟味役再設置後の監査の構造
勘定吟味役による決算承認(監査)
§ 6 小 括
補遺 徳川勘定所研究と史料
会計学者による徳川幕府会計・監査研究
経済史学者・日本史研究者による徳川幕府統治・財政研究
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第16章 近江商人中井家の監査
§ 1 近江商人による事業方法の特徴と商家「中井家」の誕生
§ 2 近江商人中井家の勃興と事業展開の特徴
§ 3 中井家コンツェルンの経営と出店管理
§ 4 中井家の帳簿組織と決算報告書(店卸目録)
(1)帳簿組織の仕組み
(2)決算手続─店卸目録(本家)の作成に至るまでの過程
§ 5 中井家の決算手続
§ 6 中井家における監査の性格と監査の構造
(1)中井家の委託受託関係の二重構造
(2)効率的な監査を可能にした中井家の経営インフラ基盤
§ 7 小 括
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第17章 三井家の監査
§ 1 三井家勃興とその事業展開
§ 2 大元方─その経営的意義
§ 3 三井家のガバナンス構造と営業活動
§ 4 三井家の会計プロセス
§ 5 三井家における店員の不正と監査
(1)大元方勘定目録における会計報告(宝永7[1710]年)
(2)大元方勘定目録における会計報告・監査報告(享保9[1724]年)
(3)大元方勘定目録における会計報告・監査報告(元文4[1739]年)
(4)大元方傘下の営業店─「京両替店」─における会計報告・監査報告(寛政5[1793]年)
§ 6 小 括
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第18章 明治期初期の銚子汽船會社(株式會社)の監査
§ 1 株式会社前史
§ 2 銚子汽船會社の設立
§ 3 銚子汽船社の設立当初(明治15年)のガバナンス構造
(1)社長・副社長
(2)出納方
(3)検査掛
(4)常會員を構成員とする会議の設置
§ 4 銚子汽船會社におけるガバナンス構造の変容(明治19年3月時点)
(1)社長・理事・出納方─執行系列の役員
(2)取締・検査掛─非執行系列の役員
§ 5 銚子汽船會社における監査の構造と特徴
§ 6 小 括
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第19章 三井銀行(私盟会社・合名会社)における監査
§ 1 第一国立銀行設立までの軌跡
§ 2 第一国立銀行の誕生とガバナンス
§ 3 私盟会社三井銀行の設立とガパナンス構造
(1)私盟会社三井銀行と「盟約書」(明治9年)
(2)私盟会社三井銀行と「盟約書」への反発(明治11年・明治19年)
§ 4 私盟会社三井銀行時代の監査の構造と特徴
私盟会社三井銀行の監査の特徴
§ 5 合名会社三井銀行のガバナンスと監査
§ 6 小 括
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第20章 明治23年商法のもとでの監査
§ 1 『ロエスレル草案』と旧商法
§ 2 『旧商法』の制定と実施までの経緯
§ 3 『ロエスレル草案』と監査役監査の枠組み
§ 4 旧商法と監査役監査の枠組み
(1)監査役監査の生成基盤と特徴
(2)監査役監査の基本的性格─行為の監査と言明の監査
(3)監査役に求められた2つの職能─監査と監督
(4)監査役と取締役の兼務について
(5)独任制監査としての監査役監査
§ 5 旧商法のもとでの監査役監査実務
(1)日本郵船株式會社
(2)王子製紙株式會社
(3)小野田セメント株式會社
(4)倉敷紡績株式會社
(5)銚子汽船株式會社
§ 6 小 括
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第21章 明治期の会計検査院監査
§ 1 現行会計検査院の法的枠組み
§ 2 会計検査院前史─ 1 ─監督司
§ 3 会計検査院前史─ 2 ─検査寮(検査局)
§ 4 明治期の会計検査院─明治憲法発布前
§ 5 明治期の会計検査院─明治憲法発布後
會計法
会計年度
§ 6 明治憲法のもとでの会計検査院検査の構造と特徴
(1)受託責任を実質的に解除すること
(2)会計検査院の独立性
§ 7 会計検査院の検査目的
§ 8 小 括
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第22章 地方公共団体における監査委員監査
§ 1 地方公共団体監査─前史
§ 2 地方公共団体における委託受託関係と機関構成
(1)委託者─住民/議員/議会
(2)受託者─執行機関としての知事
(3)監査人─執行機関としての監査委員
§ 3 地方自治体監査の構造と特徴
(1)監査委員監査の立ち位置─ A系列監査かB系列監査か
(2)監査委員の資格
(3)監査委員の職務権限と独任制
(4)受託責任監査としての監査委員監査
§ 4 監査委員監査のその後
§ 5 小 括
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第23章 証券取引法監査─初度監査と正規の監査
§ 1 公認会計士による監査証明─前史
§ 2 財務諸表監査の担い手─公認会計士か公認監査士か
§ 3 監査環境の整備─監査規範の設定
§ 4 財務諸表監査に対する規制の担い手─証券取引委員会の設置から廃止へ
(1)第1段階─証券取引委員会の設置
(2)第2段階─大蔵省理財局証券課の設置と『証券取引法案要綱』
(3)第3段階─証券取引委員会の廃止と大蔵省理財局(証券第一課・証券第二課)の設置
§ 5 正規の監査に向けての環境づくり─初度監査の導入
(1)日本公認会計士協会による『監査実施要綱』の提示とその結末
(2)簡易監査問題
(3)監査契約の偏在問題
(4)鎹としての内部統制(組織)
§ 6 初度監査の実施状況
§ 7 証券取引法監査の構造と特徴
§ 8 正規の監査実施に向けて環境づくり
§ 9 正規の監査の実施
§ 10 監査報告書が物語る当時の監査実務の混乱
(1)概要区分における混乱
(2)意見区分における混乱
監査意見の記載─過去形か,それとも現在形か
個別意見と総合意見
会計処理方法の変更
§ 11「正規の監査」の限界と監査の失敗
§ 12 小 括
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第V部を締め括るにあたって
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第W部 監査史研究の総括と監査学
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第24章 監査史研究を受けて─分析と総括
§ 1 監査史研究の分析
(1)A系列監査
(2)B系列監査
(3)新たな分析を必要とする監査実務
§ 2 監査の誕生と社会の変革
(1)封建社会・絶対的支配のもとでの監査の特徴
(2)民主社会─ガバナンスに閉鎖性がみられる事業体(組織)における監査の特徴
(3)民主社会─ガバナンスが自由でオープンな事業体(組織)における監査の特徴
§ 3 総 括
(1)財産の保全管理責任(業務の法令遵守)は 系列監査の専有事項か
(2)外部の第三者と監査の職業専門家─素人監査との訣別
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第25章 監査学の模索
§ 1 「独立の学」としての監査学への模索
§ 2 監査学という学問の模索とその学問上の体系
§ 3 受託責任とは接点のない「似て非なる」監査
§ 4 監査史研究の難しさ
§ 5 本書を締め括るに際して
(1)今後の監査研究
(2)実務との監査研究交流
(3)監査の社会への啓蒙
(4)監査の革新的展開(audit innovation)に向けて
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第X部 ドイツの監査史 付録:寄稿論文
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寄稿論文
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寄稿 第1章 ドイツ・フッガー社における監査
§ 1 ドイツにおける監査の始まり
§ 2 フッガー社の創設と主な事業
(1)時代背景
(2)フッガー社の主な事業
§ 3 フッガー社のガバナンス構造
(1)会社の運営(出資者)と事業の経営(経営者)
(2)利益分配
§ 4 フッガー社における会計の仕組み
(1)二代目ヤコブのもとでの会計業務
(2)アントンのもとでの会計業務
(3)フッガー社の財務諸表
§ 5 フッガー社における内部監査の仕組み
§ 6 フッガー社監査の生成基盤と内部監査の構造
(1)初代ヤコブ家長時代(1454-1469年)
(2)三兄弟による経営共同体(1469-1485年)・結びつきの緩い商事集団(1485-1494年)
(3)三兄弟によるパートナーシップ制商社(1494-1510年)
(4)全権集中のパートナーシップ制商社(1510-1525年二代目ヤコブ,1525-1550年アントン)
§ 7 小 括
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寄稿 第2章 19世紀後半におけるドイツ株式会社法下の監査役会監査
§ 1 19 世紀前半のドイツの株式会社の状況
§ 2 19 世紀におけるドイツの株式会社に対する法規制の史的変遷
§ 3 株式会社のガバナンス構造
§ 4 監査役会の職務と責任
§ 5 特別監査人の法定
§ 6 監査役会の監査と帳簿監査人
§ 7 小 括
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寄稿 第3章 ドイツ監査役会への従業員代表の参画の意義
§ 1 20世紀におけるドイツの株式会社に対する法規制の史的変遷
(1)1897年から1937年まで
(2)1937年以降
§ 2 ドイツの監査役会の構成員の変遷
§ 3 監査役会における従業員代表の位置づけ
§ 4 小 括
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